「Claude Code のクラウド版が出た」「スマホから Claude Code に指示できるらしい」「Cowork の Dispatch ってクラウド実行のこと?」――最近こうした話題が一気に増えました。ところが実際には「クラウドの Claude Code」と一括りに語られているものは 3 系統 存在し、しかも実行場所も用途もバラバラです。
本記事では、Anthropic 公式ドキュメントをベースに、(1) Claude Code on the web、(2) モバイルアプリや Web UI による Remote Control、(3) Claude Cowork の Dispatch の 3 系統を整理し、仕組み・コンピューティングリソース・トークン消費・スマホ指示の意味の違いを誠実にまとめます。なお、ここで扱う Web 版 Claude Code は執筆時点(2026 年)でリサーチプレビュー段階の機能を含むため、仕様は変動する可能性があります。出典: anthropic.com
そもそも「Claude Code クラウドモード」とは
Claude Code は元々、ターミナルや IDE 上で動く CLI ツールとして提供されてきました。これに対して 2025〜2026 年にかけて Anthropic は「クラウドで動く Claude Code」と呼べる体験を複数追加しています。ただし「クラウド」という言葉が指す実体は系統ごとに異なります。
「クラウドのClaude Code」と呼ばれる3系統
- Claude Code on the web(claude.ai/code):Anthropic 管理クラウド上でサンドボックス実行される、本物のクラウド実行モード。並列ジョブを走らせられます。
- Remote Control 系(iOS/Android アプリ・Web UI からの遠隔操作):実行はローカル PC 上で、モバイルやブラウザは「指示を出す窓口」にすぎません。
- Cowork Dispatch:知識労働者向け Cowork の機能で、モバイルなどから自分のデスクトップ Claude にタスクを委譲する仕組み。クラウド実行ではなく Remote Control 系に分類されます。
この 3 つを混同したまま「クラウドの Claude Code」と語ると、実行場所・並列性・トークン消費の議論がすべてズレてしまうため、まず分離して捉えることが重要です。出典: anthropic.com、claude.com/blog
用語の整理(Web版/Remote Control/Cowork Dispatch)
本記事では以下の用語で統一します。
- Web 版 Claude Code:claude.ai/code から呼び出すブラウザ版。Anthropic クラウド上のサンドボックスで実行される。
- Remote Control:iOS/Android アプリや Web UI から、自分のローカル PC 上の Claude Code セッションを遠隔操作する仕組み。
- Cowork Dispatch:Claude Cowork が提供する、モバイル等からデスクトップへタスクを引き継ぐ機能。
クラウド実行の仕組み(Web版 Claude Code)

Web 版 Claude Code は、ローカル PC を一切使わずに Anthropic 側のインフラ上で Claude Code エージェントが動くモードです。ブラウザでリポジトリと指示を渡すと、クラウド側のサンドボックス環境が立ち上がり、その中でファイル操作・コマンド実行・テスト実行などが行われます。出典: code.claude.com
Anthropic 管理サンドボックスの隔離モデル
Claude Code には公式のサンドボックス機能があり、エージェントが触れるファイルシステムとネットワークが明示的に隔離されます。Web 版ではこのサンドボックスが Anthropic 側のクラウド上で構築され、ユーザーのローカル環境にはアクセスしません。隔離されるのは大きく分けてファイルシステムスコープとネットワークスコープの 2 種類で、それぞれ「どこを読み書きできるか」「どこへ通信できるか」が制御されます。出典: code.claude.com
ファイルシステム・ネットワーク隔離の挙動
サンドボックス内ではプロジェクトディレクトリの外への書き込みがブロックされ、ネットワークも許可済みの宛先のみ通信できる構成になります。Web 版で動く Claude Code はこの仕組みの上で動作するため、ローカル PC のファイルや社内ネットワークに勝手にアクセスする経路は原則持ちません。一方で「許可されている範囲ではエージェントが自律的に動ける」という設計のため、許可ドメインや権限はリポジトリ側の設定で適切に管理する必要があります。出典: code.claude.com
並列セッション・並列ジョブの動き
Web 版の特徴のひとつが「並列ジョブ」です。同じユーザーが複数のタスクを別々のクラウドサンドボックスで同時に走らせられるため、たとえばリファクタリングを 1 つ、テスト追加を 1 つ、ドキュメント更新を 1 つ、と並行で進められます。ローカル CLI 版ではターミナル数や PC リソースに縛られていたところを、クラウド側のリソースに委ねる形になります。出典: anthropic.com
コンピューティングリソースと制限(公式未公開)
「クラウド実行できるなら、CPU やメモリは無制限に使えるのか?」という疑問は当然出ます。ここは誠実に書いておく必要があり、Anthropic は Web 版サンドボックスのハードウェア仕様(vCPU 数・メモリ量・ストレージ量・最大実行時間)を公式に明示していません(執筆時点)。GitHub Issue やフォーラム上のユーザー報告ベースの数値は出回っていますが、本記事では未公開情報を断定せず、公式の枠組みに沿って解説します。出典: code.claude.com
Anthropic が公開している情報の範囲
公式に明らかにされているのは概ね次の点です。
- Web 版は Anthropic 管理のクラウドサンドボックス上で動作する
- 並列に複数タスクを走らせる体験を提供する
- ファイルシステムとネットワークが隔離される
これら以外の細かなインフラ仕様(vCPU 数、メモリ量、最大実行時間、同時並列数の上限など)は、本記事執筆時点では公式ドキュメント上に正式な数値が掲載されていません。出典: code.claude.com
公式に明示されていない上限値の扱い
本記事では「公式未公開のリソース上限を断定しない」という方針を取ります。SNS や個人ブログでよく見かける「クラウドサンドボックスは N 分でタイムアウトする」「同時並列は M ジョブまで」といった数値は、ユーザー観測値であって Anthropic が保証した値ではありません。ビジネス用途で導入する場合は、自社のワークロードで実測してから本格運用に入るのが安全です。
リサーチプレビュー段階での注意点
Web 版 Claude Code は本記事執筆時点ではリサーチプレビューの位置付けを含み、UI・並列数・許可ドメインなどの仕様が変わる可能性があります。本番ワークフローに組み込む前に、社内ガイドラインで「プレビュー機能扱いとする」「重要データを置かない」など運用ポリシーを明文化しておくとよいでしょう。出典: anthropic.com
トークン消費と料金(Pro/Maxの予算差/公式比較なしと明記)
クラウド実行になるとトークン消費は増えるのか、それとも減るのか――これも気になる点です。結論としては 「Web 版とローカル CLI 版でトークン消費を直接比較した公式情報は、執筆時点で公開されていない」と認識しておくのが正確です。Anthropic はプラン別の利用枠の考え方は説明していますが、Web 版とローカル版の数値ベンチマーク比較は公式ドキュメントとしては提供していません。出典: code.claude.com
Pro/Max プランのトークン予算の考え方
Claude Code は Pro / Max など個人向けプランに含まれる利用枠の中で動かすことができ、Max のほうが Pro より大きな利用枠が用意されています。Web 版を使ってもこの枠の考え方自体は変わらず、エージェントが消費したトークンが各プランの利用枠から差し引かれていく形になります。重い並列ジョブを多く走らせれば、その分 Pro 枠は早く尽きやすくなる、という直感的な振る舞いです。出典: code.claude.com
クラウド vs ローカル実行のトークン比較は公式情報なし
「同じタスクを Web 版で走らせると、ローカル CLI で走らせるより N% トークン消費が多い/少ない」というベンチマーク値は、公式ドキュメントには載っていません。Web 版はサンドボックスを立ち上げるための初期化や追加のシステムプロンプトを持つ可能性があるため、まったく同じトークン量になるとは限りません。一方で、エージェントの実行内容が同じなら大きな差にならない可能性もあり、いずれにせよ自社ワークロードで実測することが最も確実です。出典: code.claude.com
並列ジョブ時の予算消費の留意点
Web 版の魅力である並列ジョブは、トークン消費という観点では「複数のセッションが同時にトークンを消費する」状態でもあります。3 つのジョブを同時に走らせれば、ざっくり 3 倍のペースで利用枠が減ると考えておくのが安全です。Pro プランで 3 並列を常用すると枠を使い切るのは早まりやすく、ヘビーユーザーは Max プランを検討する余地があります。出典: code.claude.com
スマホからの指示は「2系統」で意味が違う(対比表必須)

「スマホから Claude Code に指示できる」と一言で言っても、その裏側は 2 系統あります。ここを取り違えると「クラウドだと思っていたら実はローカル PC が必要だった」「外出先で PC を閉じていたら動かなかった」という事故につながります。出典: anthropic.com
モバイルアプリ(iOS/Android)= Remote Control 系の仕組み
iOS/Android の Claude モバイルアプリから Claude Code 系の操作を行うとき、その実行主体は基本的に「自分のローカル PC で動いている Claude Code セッション」です。スマホは指示を送る窓口・結果を眺めるダッシュボードであって、コードのビルドやテストは PC 側で動きます。したがって PC をシャットダウンしている間はジョブが止まる、ローカルのファイルが対象になる、といった性質があります。出典: claude.com/blog
Web版 claude.ai/code をスマホブラウザで開く = クラウド実行
一方、スマホの Safari や Chrome で claude.ai/code(Web 版 Claude Code)を開いて操作した場合は、実行は Anthropic クラウド上のサンドボックスで行われます。ローカル PC が起動していなくてもジョブは進み、対象になるのはクラウドサンドボックス内のリポジトリです。「真のクラウド実行」と呼べるのはこちらだけです。出典: code.claude.com
対比表(実行場所・並列性・対象プラン・ユースケース)
| 項目 | モバイルアプリ(Remote Control) | Web版 claude.ai/code(クラウド実行) |
|---|---|---|
| 実行場所 | ローカルPC上のClaude Codeセッション | Anthropic管理クラウドサンドボックス |
| PC電源 | 必要(スリープ等で止まり得る) | 不要(クラウド側で完結) |
| 並列ジョブ | ローカルリソース次第 | クラウド側で複数ジョブ可 |
| 対象ファイル | ローカルのリポジトリ | クラウド上のリポジトリ |
| ユースケース | 外出先から普段のPC作業を遠隔操作 | PCを使わず長時間タスクを並列で回す |
出典: code.claude.com、claude.com/blog
Cowork Dispatch との違い(対比表必須)

もうひとつ混同されがちなのが Claude Cowork の Dispatch 機能です。これも「スマホから Claude にタスクを投げる」という見た目は似ていますが、立ち位置がまったく違います。出典: claude.com
Cowork Dispatch とは何か(用途と対象ユーザー)
Claude Cowork は、エンジニア以外も含む知識労働者向けの「Claude を業務の同僚のように使う」ためのプロダクトです。Dispatch はその中で、モバイルやチャットなどから自分のデスクトップ上の Claude にタスクを委譲し、戻ってきた結果を確認する仕組みを提供します。コードよりも「ドキュメント整理」「メールドラフト」「リサーチタスク」のような知識労働に重心が置かれています。出典: support.claude.com
Dispatch はクラウド実行ではなく Remote Control 系
重要なのは、Dispatch が立ち上げるのは「自分のデスクトップ上の Claude セッション」であり、Anthropic のクラウドサンドボックス上で新しい Claude Code が動くわけではない、という点です。つまり Dispatch は Web 版 Claude Code とは別物で、構造としては Remote Control 系に分類できます。Computer Use 等の機能と組み合わさっていても、基底にあるのは「自分の PC が処理する」モデルです。出典: claude.com/blog
対比表(Web版 Claude Code vs Remote Control vs Cowork Dispatch)
| 項目 | Web版 Claude Code | Remote Control(モバイル/Web UI) | Cowork Dispatch |
|---|---|---|---|
| 実行場所 | Anthropic管理クラウド | ローカルPC | 自分のデスクトップ(Cowork) |
| クラウド実行か | はい | いいえ | いいえ(Remote Control系) |
| 主な用途 | 並列・長時間のコーディングタスク | 外出先からの遠隔操作 | 知識労働タスクの委譲 |
| 対象ユーザー | 開発者全般 | 開発者全般 | Cowork利用者(知識労働者中心) |
| PC電源 | 不要 | 必要 | 必要 |
出典: claude.com、support.claude.com、code.claude.com
使い分けガイド(実務シナリオ別)
3 系統を整理したうえで、典型的な実務シナリオごとにどれを選ぶべきかをまとめます。
並列で長時間タスクを回したい場合は Web版
「リファクタリングと CI 修正と型エラーつぶしを同時に進めたい」「夜間に長時間バッチ的にエージェントを走らせたい」といった用途は Web 版 Claude Code の得意分野です。ローカル PC のリソースに縛られず、Anthropic 側のサンドボックスで複数ジョブを並列に動かせます。ただしリサーチプレビュー段階の機能を含む点と、トークン消費が並列で増えやすい点には注意が必要です。出典: anthropic.com
外出先から既存PC上の作業を進めたい場合はモバイル/Remote Control
「自宅 PC の現在のリポジトリ状態のまま、移動中にタスクの続きを指示したい」というケースには、モバイルアプリ等から既存ローカル PC を遠隔操作する Remote Control が向いています。実行場所は変わらず PC 上なので、ローカルにしかない設定・データもそのまま扱える反面、PC 電源・ネットワーク状態に依存します。出典: claude.com/blog
Cowork ユーザーがチームで知識労働タスクを委譲する場合は Dispatch
Claude Cowork を導入していて、ドキュメント作成・調査・メール文案などをモバイルから自分のデスクトップ Claude に投げたい、というケースでは Cowork Dispatch が選択肢になります。これは Web 版 Claude Code とは別系統であり、コーディング向けというよりは「業務 PC を自分の代わりに動かす」運用に近い使い方です。出典: claude.com、support.claude.com
まとめ
「クラウドの Claude Code」と一括りに語られている領域は、実際には (1) Web 版 Claude Code、(2) モバイル/Web UI からの Remote Control、(3) Cowork Dispatch の 3 系統に分かれます。本物のクラウド実行(Anthropic 管理サンドボックス・並列ジョブ可)と呼べるのは Web 版だけで、Remote Control と Dispatch は実行主体がローカル PC やデスクトップ Claude 側にあります。出典: anthropic.com
コンピューティングリソースの上限値や、Web 版 vs ローカル版のトークン消費比較は、執筆時点で公式に明示された数値はありません。プレビュー段階の機能を含む前提で、自社ワークロードで実測しながら導入判断するのが現実的です。本記事の整理が、3 系統を取り違えずに使い分ける助けになれば幸いです。出典: code.claude.com
引用・出典
- code.claude.com (Anthropic公式): Claude Code on the web
- anthropic.com: Claude Code on the web (Announcement)
- code.claude.com (Anthropic公式): Sandboxing in Claude Code
- code.claude.com (Anthropic公式): Claude Code Costs
- claude.com: Claude Cowork — Product page
- support.claude.com: Assign tasks to Claude from anywhere in Cowork
- claude.com/blog: Dispatch and Computer Use

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