Codex サブエージェントは、複数の専門エージェントを並列実行してタスクを分担できるマルチエージェント機能です。2025年8月のコミュニティ要望から始まり、2026年3月についに正式GAを迎えました。この記事では、ベータ開始から安定版リリースまでの軌跡と設定方法、そして Claude Code エージェントとの違いを、実際に早期から設定を組んできた筆者の体験を交えながら解説します。
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Codex サブエージェントとは何か
マルチエージェント並列実行の仕組み
Codex サブエージェントとは、1つの親エージェント(オーケストレーター)が複数の子エージェントを生成し、並列で作業を分担させる仕組みです。それぞれの子エージェントは独立したコンテキストウィンドウを持ちます。つまり、親が明示的に渡した情報のみを参照して動作します。
このアーキテクチャには明確なメリットがあります。具体的には、コンテキスト汚染を防ぎながら並列でタスクをこなせる点が大きな利点です。例えば、「調査・執筆・SEOレビュー・アフィリエイト挿入」という4つのステップを1エージェントが直列にこなすと、コンテキストが膨らみ推論品質が下がります。そのため、Codex サブエージェント構成では各ステップを独立したエージェントに委譲することが推奨されます。
デフォルトで用意された3種のエージェント
Codex にはデフォルトで「explorer」「worker」「default」という3種類のエージェントが組み込まれています。explorer はコードベースの広域探索に適しており、worker は大量の小タスクを並列処理するのに向いています。これらに加えて、ユーザーが独自のカスタムエージェントを定義することも可能です。
コンテキスト分離と情報の受け渡し
子エージェントは「親が渡したもののみ」を参照します。そのため、エージェント間の情報受け渡しは設計が重要です。実際に筆者のプロジェクトでは、各ステージを run_state.json という同期ファイルで管理する設計を採用しています。また、brief_locked や draft_created といった同期点を設けて、段階的にエージェントを呼び出す構成を整えています。
Codex サブエージェント ベータから正式 GA までの軌跡

2025年8月〜2026年1月:コミュニティ要望とオプトイン開始
Codex サブエージェント機能の起点は、2025年8月23日の GitHub Issue #2604 です。コミュニティからマルチエージェント並列実行の要望が寄せられ、開発チームが正式に検討を開始しました。出典: GitHub openai/codex Issue #2604。その後、2026年1月21日リリースの v0.88.0 で、/experimental フラグを通じたオプトインが始まりました。出典: OpenAI Codex Changelog
しかし、わずか数日後の2026年1月25日 v0.90.0 では「beta」表示でより広くロールアウトが試みられました。ただし、クォータ枯渇バグが発生し一時的に機能が撤回されています(出典: OpenAI Codex Changelog)。初期のベータはこうした不安定さを抱えていました。
2026年2月:collab 設定での再有効化と機能拡充
クォータ問題を修正した後、2026年2月4日に collab = true という config 設定を使った再有効化が行われました。出典: OpenAI Codex Advanced Configuration。この時期から、config.toml の [features] セクションにフラグを追加することで機能を利用できるようになっています。さらに注目すべきは、2026年2月25日の v0.105.0 で大きな転換点が訪れたことです。
v0.105.0 では、サブエージェント機能の feature flag が削除されました。つまり、特別な設定なしに誰でも使える状態になったのです(出典: GitHub openai/codex Release v0.105.0)。加えて、spawn_agents_on_csv という CSV ベースのファンアウト実行機能も追加され、大量タスクの並列処理が格段に扱いやすくなりました。
2026年3月:Smart Approvals 追加と安定版アナウンス
2026年3月16日にリリースされた v0.115.0 で、Codex サブエージェントの正式 GA(一般提供開始)がアナウンスされました。出典: Simon Willison、OpenAI Codex Changelog。このバージョンでは Smart Approvals 機能が追加され、レビューリクエストをガーディアンサブエージェントを通じてルーティングできるようになっています。また、子エージェントへのサンドボックス・ネットワークルールの継承が改善され、wait_agent ツールの命名も統一されました。
| 時期 | バージョン | 内容 |
|---|---|---|
| 2025-08-23 | — | GitHub Issue #2604 でコミュニティ要望 |
| 2026-01-21 | v0.88.0 | /experimental でオプトイン開始 |
| 2026-01-25 | v0.90.0 | 「beta」表示でロールアウト→クォータバグで撤回 |
| 2026-02-04 | — | collab = true 設定で再有効化 |
| 2026-02-25 | v0.105.0 | feature flag 削除・spawn_agents_on_csv 追加 |
| 2026-03-16 | v0.115.0 | Smart Approvals・安定版アナウンス・正式 GA |
Codex サブエージェントの設定方法
ユーザーレベル設定(~/.codex/config.toml)
最も基本的な設定は、ホームディレクトリの ~/.codex/config.toml に記述するユーザーレベル設定です。以下のように [features] セクションに multi_agent = true を追加するだけで有効化できます。
[features]
multi_agent = true
[agents]
max_threads = 6 # 同時実行スレッド数(デフォルト: 6)
max_depth = 1 # ネスト深度(デフォルト: 1、子エージェントの子は不可)
[agents.wp_orchestrator]
description = "WordPress記事作成フローの統括と委譲"
[agents.wp_article_researcher]
description = "記事調査・比較軸整理・書籍候補整理"
[agents.wp_article_writer]
description = "drafts下書きの執筆・改稿"
上記は実際に筆者が使用している設定の一部です。description フィールドは、Codex がエージェントを選択・生成する際の判断基準として使用されます。そのため、役割を明確に書くことが重要です。
プロジェクトレベル設定(.codex/config.toml)
プロジェクト固有の設定は、リポジトリ内の .codex/config.toml に記述します。この設定は GitHub で管理できるため、チームで共有する際に非常に便利です。ただし、プロジェクトが「信頼済み」と判断された場合のみ読み込まれる点に注意してください。
信頼済みにするには、ユーザーレベルの ~/.codex/config.toml に以下の設定を追加します。
[projects."/path/to/your/project"]
trust_level = "trusted"
プロジェクトレベルの設定ファイル内の相対パスは、.codex/ フォルダを基準に解決されます。また、複数の設定ファイルが同一キーを定義する場合、最も近いファイルが優先されます。
エージェント定義ファイル(.codex/agents/)
エージェントの詳細な定義は、~/.codex/agents/(個人用)または .codex/agents/(プロジェクト用)に配置するファイルで行います。形式は Markdown か TOML の2種類があります。
Markdown 形式はシンプルで書きやすく、現在の筆者の設定もこの形式を使っています。一方で、TOML 形式では model や sandbox_mode をエージェントごとに個別指定できるため、より細かな制御が可能です。
# Markdown 形式(.codex/agents/wp-orchestrator.md)
---
name: wp-orchestrator
description: WordPress記事作成フローの統括。調査・執筆・画像要求設計・SEO確認・アフィリエイト挿入の役割へ委譲し、完了条件を揃える。
---
# WP Orchestrator
## 目的
wp-auto-poster 系の作業を統括し、必要な役割へ委譲して完了まで進めます。
## 委譲先の目安
- 記事テーマの情報収集: wp-article-researcher
- 記事執筆: wp-article-writer
- SEO観点レビュー: wp-seo-reviewer
# TOML 形式(.codex/agents/reviewer.toml)
name = "reviewer"
description = "正確性とセキュリティ重視のレビュアー"
developer_instructions = """
コードをオーナーの視点で審査し、
正確性・セキュリティ・テスト不足を優先的に確認する。
"""
sandbox_mode = "read-only"
model = "gpt-5.3-codex-spark"
Codex サブエージェントと Claude Code エージェントの比較
Codex サブエージェントと Claude Code のエージェント機能は、どちらもマルチエージェント構成をサポートしています。しかし、設計思想や実行環境が大きく異なります。実際に両方を使っている筆者の視点で比較してみます。
| 項目 | Codex サブエージェント | Claude Code エージェント |
|---|---|---|
| 設定形式 | TOML または Markdown | Markdown (SKILL.md / AGENT.md) |
| 実行環境 | クラウドサンドボックス | ローカル端末 |
| CSV ファンアウト | spawn_agents_on_csv 組み込み | 非対応(独自実装が必要) |
| トークン効率 | 高速・大量消費 | 丁寧・推論重視 |
| コンテキスト分離 | 明示的に渡したもののみ | 各エージェントが独立 |
| 多階層サポート | max_depth パラメータで制御 | サポート |
| モデル個別指定 | TOML 形式で可能 | エージェント定義ファイル内に記述 |
実行環境の違い:クラウド vs ローカル
最も根本的な違いは実行環境です。Codex サブエージェントはクラウドサンドボックスで動作します。そのため、ローカルの環境設定に依存せず再現性が高い反面、ローカルファイルへのアクセスには明示的な受け渡しが必要です。一方、Claude Code のエージェントはローカル端末で動作するため、リポジトリへの直接アクセスやターミナルコマンドの実行が自然に行えます。
CSV ファンアウト機能の有無
Codex には spawn_agents_on_csv という組み込み機能があります。これは CSV に記載されたタスク一覧を読み込み、エージェントを自動的に並列展開するファンアウト実行です。例えば、100件の URL を検査するタスクを一括で並列処理する、といった使い方が可能です。Claude Code にはこれに相当する組み込み機能はなく、独自に並列化を設計する必要があります。
使い分けの考え方
筆者の現在の運用では、Claude Code をメインのオーケストレーターとして使い、Codex のエージェント定義と設定は将来的な活用に向けて整備しているという状況です。単発のタスクや対話的なデバッグは Claude Code が得意で、大量の均質タスクを高速に処理したい場面では Codex サブエージェントが力を発揮すると考えています。Claude Code 自体の使い方については、Claude Codeインストール方法と初期設定ガイドも参考にしてください。
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筆者の実体験:早期設定から正直な評価まで
6エージェントの自前構築と config.toml 設定
筆者は Codex サブエージェント機能がまだベータの段階から、WordPress 記事生成フロー向けのエージェントを自前で構築していました。具体的には、以下の6つのエージェントを .codex/agents/*.md 形式で定義しています。
- wp-orchestrator:フロー全体の統括と各エージェントへの委譲
- wp-article-researcher:テーマに関する情報収集・比較軸の整理・書籍候補の列挙
- wp-article-writer:article.html / meta.json の執筆・改稿
- wp-seo-reviewer:SEO 観点でのレビューと修正提案
- wp-affiliate-linker:もしもアフィリエイトリンクの安全な挿入
- wp-image-request-designer:image_requests.json の設計と本文プレースホルダーの整合確認
~/.codex/config.toml の [features] セクションには multi_agent = true を設定し、各エージェントの description も記述済みです。プロジェクトレベルでは .codex/config.toml に trust_level = "trusted" を設定して、Git で管理できる構成にしています。
正直な評価:「良くはなっているはず」という状況
ただし、正直に言うと「サブエージェントを使った・使わない」での体感差はまだ実感できていません。設定は整っており、構成もドキュメント化されています。しかし、日常的に並列エージェントが明確に動作しているという手応えを感じる場面はまだ少ないのが現状です。
特に、今回この記事を執筆するにあたって、プロジェクト領域での TOML 管理・GitHub 運用まわりの設定を改めて調査しました。その結果、以前は multi_agent = true を使っていた設定が公式には collab = true の時期もあったことや、v0.105.0 以降は flag 自体が不要になった経緯も確認できました。つまり、筆者の設定は現在 multi_agent = true のままですが、GAバージョンでは実質常時有効のため、動作上は問題ないはずです。
今後の検証計画
今後は、実際に Codex サブエージェントを明示的に呼び出す場面を意図的に設定し、逐次実行との比較を行う予定です。具体的には、記事生成フローで「researcher → writer → reviewer」という3エージェントの並列ハンドオフを Codex で実行します。そして、Claude Code での逐次実行との速度・品質を比較し、その結果は別記事として報告する予定です。
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あわせて読みたいおすすめ書籍
Codexサブエージェントやマルチエージェント構成を実際に活用するための参考書籍をご紹介します。AIエージェントの仕組みから実践的な実装まで幅広くカバーされています。
まとめ:Codex サブエージェントは使い始めの今が仕込みどき
Codex サブエージェントは、2025年8月のコミュニティ要望から約7ヶ月で正式 GA を迎えました。機能の安定性も v0.115.0 で大幅に向上しています。この記事のポイントをまとめます。
- Codex サブエージェントは親エージェントが子エージェントを並列生成するマルチエージェント機能で、2026年3月16日に正式 GA
- 設定は
~/.codex/config.tomlにmulti_agent = trueを追加するだけ(v0.105.0 以降は flag なしでも常時有効) - エージェント定義ファイルは
.codex/agents/に Markdown または TOML 形式で配置する - Claude Code との最大の違いは「クラウドサンドボックスでの実行」「CSV ファンアウト機能」の有無
- プロジェクトレベルの設定は
trust_level = "trusted"が必要で、Git 管理が可能 - 筆者は6エージェントを早期から構築済みだが、体感的な効果の検証はこれから
機能として整備されたいま、実際のワークフローに組み込んで検証するフェーズに入っています。今後の検証結果もこのブログで報告していきます。※本記事の情報は 2026年3月現在のものです。
引用・出典
- OpenAI Developers – Multi-agents(公式ドキュメント)
- OpenAI Developers – Codex Changelog
- OpenAI Developers – Advanced Configuration
- OpenAI Developers – Configuration Reference
- GitHub openai/codex – Issue #2604: Subagent Support
- GitHub openai/codex – Release rust-v0.105.0
- Simon Willison – Use subagents and custom agents in Codex (2026-03-16)

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